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94話

上官歆は叶明厉をじっくりと眺め、外見は特に変わっていないものの、その雰囲気は相変わらず偽善的だった。彼の本性を知らなければ、本当に玉のような君子だと思い込んでいたかもしれない。

しかし、それにしても頭が悪くなるはずはないのに、なぜか彼はどんどん愚かになっているように感じた。もしかして以前は恋愛脳だったせいで、叶明厉に特別なフィルターをかけていたのだろうか。

何をしても良く見えてしまう。

今はそのフィルターが外れ、何をしても気に入らない。

上官歆はどうしても理解できなかった。

もしフィルターというものが本当に存在するなら、今の彼女は叶明厉を本当に心底嫌っている。

叶明厉は居た堪れなさ...