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82話

夜が訪れた。

最後の客も帰り、上官歆は二人の侍女とともに店の片付けをしていた。そこへ上官瑞がのんびりと外から入ってきた。

上官歆は彼の姿を見て少し驚いた様子で「どうしてここに来たの?家でおとなしくしていればいいのに」

上官瑞はにこにこしながら近づいてきた。「姉さん、今日書院で世子が誰かに殴られたって聞いたんだ。心配になってすぐに駆けつけたんだよ。もしみんなが姉さんのしわざだと勘違いしたら、どうするつもりだったの?」

上官歆「……」

万が一も何も、みんな既に自分の仕業だと思っているじゃないか。

自分だってバカじゃない。やったならすぐに遠くへ逃げるはず。わざわざ将軍府の門前に放置するな...