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206話

上官鉦の口元に笑みが浮かんだ。

「この子は、小さい頃から歆儿に想いを寄せているのが見て取れたが、一度も口に出したことがなかった。今や歆儿が離縁したというのに、こうして彼が行動してくれるのは嬉しい限りだ。ただ、この子はどうしても自分の気持ちを打ち明けようとしないんだよな」

宋珏の心の内がどうなっているのか分からないが、もう少し待ってみるしかないな。急いては事を仕損じるというものだ。

上官鉦はもう一度寝床に横になり、ぼんやりと天井の梁を見つめた。

焦ってはいけないこともある。国を守る戦いもそうだ。

今や彼はこの年齢になり、もはや国を守るために剣を握る力も残っていない。

皇上に京を離れ、...