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85話

門番は一瞬固まり、茫然とした目で闇夜を見渡すと、独り言を呟いた。「あれ?誰もいないのか?年を取ったな、もうダメだ、目が霞んでるわ」そう言うと、彼は門番室へと戻っていった。

賀新華は門番を無言で見つめ、頭を振りながら学校の敷地内へと足を踏み入れた。

「あの、柳先生は大丈夫だったの?」思いがけないことに、教室に入るやいなや冷清秋が駆け寄ってきた。この娘、自分より早く起きてきたらしい。だが目の下にクマはない。生まれつきの美貌で肌の調子がいいのか、それとも何も考えずに帰ってからぐっすり眠ったのか。

「大丈夫さ、何があるってんだよ?俺が出向いたんだ、間違いなんてあるわけないだろ?...