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70話

「パタッ!」

高級な限定版スマートフォンを彼女は惜しげもなく地面に叩きつけた。それだけでは飽き足らず、高級なレースアップブーツを履いた小さな足で何度も踏みつけ、そのスマホが粉々になり、SIMカードだけが残るまで続けた。彼女はそのカードさえ折って捨てようとしたが、一瞬躊躇してから拾い上げた。

足早に階段へと向かう彼女に、黒石が慌てて追いかけた。

階段には無数の学生たちが先ほどの一部始終を目撃しており、つい先ほどまで優雅にスポーツカーに寄りかかって電話をしていた青春美少女が、まばたきする間に怒り狂うスーパーガールへと変貌した理由を皆が推測していた。誰に向かっているのか?まさか自分じゃないよな?...