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240話

「ああ。その通りだね。行こう」二人はタクシーを借り切ることもなく、バスに乗ることもなく、雑踏する人々の中に紛れて駅へと歩いていった。

二人とも早くから高級だが決して目立たない服装に着替えていたのだが、男は端正な顔立ちに威厳のある雰囲気を漂わせ、女は仙人のように美しく、しなやかで形容しがたいほどの魅力を持っていた。どこへ行っても最も人目を引く一組であることは避けられなかった。まったく頭が痛い問題だった。

さらに二人は多額の現金とゴールドカードを持っていた。面倒を避けるため、何かあればすぐに金で解決するつもりだった。万が一あの連中に気づかれでもしたら、厄介なことになる。

大金を持ち歩いている...