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199話

その来訪者は稲妻のような素早い身のこなしで回春堂の中に飛び込んできた。入り口で地面にひっくり返っている黄軍など眼中になく、柴火と格闘中の黒石に向かって一撃を放った。

その拳は軽やかに見えながらも、驚くべき力を秘めていた。

黒石の表情が急変し、足に力を込めて急速に後退した。突然の一撃を避けるためだった。

賀新華は眉をひそめ、黄軍から離れると身を躍らせ、先回りするように影の前に立ちはだかり、絶妙なタイミングでその突然の一撃に対して拳を繰り出した。

一見シンプルなその一撃だが、驚くべき力が込められていた。突然現れた黒い影はピタリと動きを止め、表情が沈み、拳の勢いを抑え、重々しく賀新華の拳に向...