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308話

車内の空気は、どことなく重苦しいものに変わっていた。

様々な匂いが混ざり合った空気に、二人は酔いしれていた。男の汗の匂い、女の香り、そして二人がお互いに晒し出し、もてあそばれている部分から漂う体液の匂い。

この瞬間。

二人はほぼ裸の状態で向き合っていた。真の距離ゼロの接触、真の親密な触れ合い。真に何の隔たりもない状態。

どんな理由でこうなったのか、今はもう忘れてしまっていた。今この瞬間、二人の間には最も原始的な欲望だけが残っていた。

最も原始的な部位から漂う、最も原始的な魅惑の香りが、二人の距離を一気に縮めていた。

彼女の胸の豊満さ、私の下半身の硬さ……

今はどちらも相手の手の中にあった...