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49話

「写真家なんてやめちゃって、いっそ僕と小説でも書いたらどう?言葉選びがうまいね!そんな甘い言い方じゃ、秦蝶は絶対に同意しないよ」

予想外だったのは、秦蝶が反対しなかったことだ。主人が認めたなら、この使用人の僕がなんだかんだ言えるわけもない。来るなら来いよ、拒みながらも誘うような態度を取るしかないか。

緊張して唇を舐めると、僕は頭を下げた。秦蝶が大きく息を吐き、その息が僕の顔にかかってくすぐったい。もう十分近づいている。これ以上前に出れば、キスしてしまうことになる。

「動かずにいないで、拒みながらも誘うように」チーフカメラマンが言った。

秦蝶はもう我慢できなかった。「ただ写真を撮るだけな...