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226話

「おじいさん、そんなにお気遣いなさらないでください。私は何もしていませんから」と私は慌てて手を振り、恥ずかしそうに言った。

しかし老人は何度も首を振った。「細かいところこそ、人の道徳的な品性が表れるものだ。君のような若者は人助けが好きで、しかも謙虚だ。いい青年だよ」

老人にそこまで言われると、私も恥ずかしくなってきた。実際、自分では本当に小さなことをしただけだと思っている。他の誰かだって、こんな命に関わる瞬間に見て見ぬふりなどできないだろう。

林蓮は私と老人の会話を見て、突然笑い出した。「もういいでしょう、二人とも遠慮し合うのは。こんな大人なのに子供みたいね」

老人が笑い、私もつられて...