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98話

私はこの三百元、決して無駄にならなかったと思い、出る時にこっそりもう百元を彼に渡した。

老人は遠慮するようなことはなく、にこにこ笑いながら受け取った。

寺を出ると、妻の気分は明らかに良くなり、元の姿に戻って私の手を引いて、あちこち歩き回った。

路地の屋台で「愛を象徴する」とか「幸せになれる」と大げさに宣伝されている品物をたくさん買い込んだ。

楽しそうに買い物をする姿は、すっかり元の彼女に戻ったようだった。

私は後ろで大小の荷物を抱えて苦労していた。このままでは帰ったら「辺境土産専門店」が開けるんじゃないかと疑うほどだ。

一日中歩き回り、この旅行の最後の夜は、街中にある評判の良いという宿に泊...