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935話

考えるよりも先に、冷たい小さな唇が唐突に触れてきた。心地よさを感じる間もなく、何かが彼女の息とともに私の体内へ送り込まれるのを感じた。

冷たく、滑らかな感触。一瞬でそれが例の小さな氷の玉だと悟った。彼女が息とともに吹き込んだのだ。

その冷たさは、氷水に飛び込んだ時のような外からの冷たさではなく、体の内側から広がっていく冷たさだった。まるで氷の入ったグラスをまるごと飲み込み、胃で溶けることなく腸へと進み、後ろへと滑り落ちていくような感覚。

驚いて身を起こし、その玉を振り落とそうともがいた私に、彼女は押さえつけながら嗔んだ。「動かないで!」

この女は何をしているのかわからなかったが、すぐに...