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820話

驚きつつ、この李林の能量に感心していた矢先、携帯が鳴った。

肖舞の番号だった。考える間もなく、すぐに電話に出た。

電話の向こうから李林の朗らかな笑い声が聞こえ、今どうしているかと尋ねてきた。

彼の落ち着いた、余裕のある声を聞いて、ほっと息をついた。どうやら彼はすべて片付けたようだ。

さっきの自分の慌てぶりを思い出し、ビジネスの世界ではまだまだ修行が必要だと感じた。

これで李林に興味が湧き、尋ねてみると分かったことがある。

李林は地元にはおらず、以前は沿岸部の都市の旅行会社で働いていたという。どの会社かは具体的に言わなかったが、初めての会話だし、私も空気を読んで聞かなかった。

肖舞が海岸沿いの都...