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82話

これで私は安堵の息をついた。強張っていた心も、少し緩んだ。

心の中には怒りも湧いていた。何度も呼んだのに彼女が応じなかったことに、無駄に心配させられたことに。

しかし布団の下の彼女の姿を見た途端、その怒りはすべて霧散した。

代わりに心を満たしたのは憐れみだった。失ったものを取り戻したような感覚が、より一層大切に思う気持ちを強めた。

私はゆっくりと近づき、ベッドの端に腰を下ろした。

私に会いたくないのか、それとも向き合う勇気がないのか、布団の下からは何の動きもなかった。

半刻ためらったが、やはり彼女の様子を確かめようと決めた。不安な気持ちで、震える手で少しずつ布団をめくった。

布団の下の彼女の姿...