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804話

「ちょっと気分が悪いわね。不倫とはいえ、顔に書いてあったわけじゃないでしょう?なのにこんなに簡単に見抜かれるなんて」

私は平静を装えるものの、方瑶はどこか落ち着かない様子だった。

本来なら大きな場面に慣れているはずの彼女がこんな様子とは。おそらく先ほど車の中での行為が、彼女の心を大きく乱し、冷静さを失わせたのだろう。

金さえ払えば、フロントも余計な質問はしない。

先ほど方瑶を挑発していたが、私自身も我慢の限界で、ズボンの中が苦しいほど張っていた。ルームキーを手に、方瑶の手を引いて足早にエレベーターへ向かう。

彼女はハイヒールを履いたまま小走りで、カタカタと音を立てて人目を引いていたが、幸い、ま...