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659話

「大丈夫だよ」と私は馬鹿げた笑みを浮かべて姜兵に伝えた。彼は怪訝そうな目で私を見つめ、謝罪するかのように私の手を引いてダンスへと誘った。

あの夜の狂気が蘇ってきた。でも今夜の彼はあの時よりも優しく、ゆっくりと私を抱きしめながら踊る。まるで熱烈な恋人同士のように。彼の眼差しは熱く、渇望と問いかけ、そして懇願の色が混ざっていた。

最初は見ないふりをして、無意識に目を逸らしていた。

姜兵はまったく諦めず、不埒な手が私の体をゆっくりと彷徨い始めた。彼の力強い腕に抱きしめられ、私には逃げ場などなかった。

初めは逃げ出したいと思ったけれど、すぐに少しずつ沈んでいった。欲望なのか、妥協なのか、それと...