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624話

「恐らく長い間日の光を浴びていなかったからだろう、夢潔は目を閉じたものの、避けようとはせず、嬉しそうに微笑みながら、可愛らしい顔を上げて太陽の光を正面から浴びていた。

外の花や草の香りが漂ってくるような気がして、彼女は深く息を吸い込んだ。

「晩秋になると、山中の葉がすべて黄色くなって、もっと景色が綺麗になるのよ」夢潔は窓越しに山の下を見つめ、うっとりと言った。

「今でも十分綺麗だよ」私は心から言った。山の植生はまるで特別に育てられたかのようで、どこも美しかった。

「私は小さい頃からここで育ったの。両親はとても私を大事にしてくれて、少しでも怪我をするのを恐れて、決して自由に走り回らせてくれなかっ...