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584話

「またお前は素直じゃないな。ちょっと試してみただけで、罠にはまるなんて。やっぱり男は欲望には抗えないのね」方瑤は私の胸に置かれたままの手を払いのけ、身を起こして言った。

窓の外を見つめながら「こんな場所を選ぶなんて、思いもしなかったわ」

「違うよ、俺はただお前に抗えないだけさ」もう気づかれた以上、こそこそする必要はない。

私はすでに決めていた。彼女が同意しようとしまいと、抵抗されても、今夜は事を成し遂げるつもりだった。夜長は考え事が多くなるからな。

女は寝た後でこそ、信頼に値すると言う人もいる。

ただ彼女がこんなに早く目を覚ますとは思わなかっただけだ。手を引っ込めて尋ねた。「演技するなら、なぜ...