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565話

「あの息詰まる場所からようやく抜け出せた気がする。中では空が常に濁り、権謀術数に満ちていた。外の空気は新鮮で、すべてが美しく感じられる」

六時間も運転したのに、少しも疲れを感じない。むしろどんどん元気になってきて、少し興奮している。

ようやく故郷の小さな町に戻ってきた。変わったところは多いが、やはり懐かしい場所だ。

立ち寄ることもなく、十数分の車での移動。これから先は細い道が数キロ続くため、車は道端に停めるしかない。顔見知りのおじさんの家の前だ。

荷物を手に歩き始めると、目に入るものすべてが懐かしく感じられる。道端の一輪の野花も、一匹の蝶でさえも、私の気持ちを明るくし、思わず微笑んでし...