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53話

こんな状況になっても、妻は私の手を離そうとせず、私も彼女の手を放したくなかった。二人とも依然として躊躇っていた。

呉欣雨はにこやかに微笑み、密かに姜兵に頷いた。姜兵は手を伸ばして妻の肩に触れ、そっと彼女を私の腕から引き離した。

妻は恐怖に満ちた目で私を見つめ、彼女の瞳には迷いが見えた。まるで罠にかかった小さな白うさぎのように無力で、私に救いを求めるような眼差しだった。

妻を引き戻そうとした瞬間、呉欣雨が突然私の腕に手を絡ませ、耳元で香り高い吐息とともに囁いた。「春の夜のひと時は千金の価値があるわ。何をぼんやりしているの？」

伸ばそうとした手が拘束され、心もまた囚われていく。私は目の前で妻が姜兵...