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521話

「怒ってなくて良かった」と胸をなでおろしたのもつかの間、彼女は静かに「私がここまで正直に話したんだから、あなたにも秘密を一つ教えたい」と言い出した。

その一言で私は一瞬固まり、心臓がバクバクと鳴り始めた。

どんな秘密なのか知りたい気持ちと、聞いたら後悔するかもしれない苦い何かを恐れる気持ちが入り混じって、正直なところとても複雑な心境だった。

結局は好奇心が勝ち、私は妻に話すよう促した。

いざとなると、彼女はもじもじと言いよどんでいる。こういう態度がさらに人を焦らせ、気持ちも重くなる。口に出せないことというのは、たいてい良いことではないのだから。

焦りを隠せない私の視線に気づくと、彼女はますます...