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460話

妻は上手く隠していたつもりだったが、心の中のわだかまりはまだ消えておらず、出てくるとすぐに「もう行ってもいいわ」と私に声をかけた。

私はついていかず、顎に手を当てながら「なんだか彼女のこの格好、完璧じゃない気がする。何か足りないような…」と言った。

女性は服装や身なりにとても敏感で、誰かに「似合わない」とか「不適切だ」と言われれば緊張してしまうものだ。特に好きな相手から言われたら大変なことになる。まるで天が崩れ落ちるかのようだ。

妻も例外ではなく、驚いて自分の姿を上から下まで確認し、慌てて「どこがダメなの?」と尋ねてきた。

私は顎を押さえながら、じっと彼女を上から下まで眺め続けるだけで...