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41話

「何度か来たことがあるから、この雰囲気には慣れているんだけど、妻は初めてだから、入った途端にこの空気に飲まれて、あちこち好奇心いっぱいに見回ってるよ。おかげで緊張も薄れたみたいだ」

辺りを見回したが、呉欣雨の姿は見当たらない。私は妻を連れてバーカウンターへ向かった。一人のウェイターが近づいてきて尋ねた。「呉様のお客様ですか?」

私は頷いた。

「こちらへどうぞ」ウェイターはそう言うと、振り返って先導し始めた。まるで質問する隙も与えない様子だ。

彼女があまり多くを語りたくなさそうなので、仕方なく妻の手を引いて後についていった。

薄暗い廊下を抜けると、バーの奥にある大広間に出た。そこには大...