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292話

「私は兵と馬で河を渡り、岳父の車を帥の前に包囲した。本来なら馬で車を取り、歩で王手をかければ勝ちは確実だった。

だが迷った末、私は駒を取らず、馬で王手をかけた。すると岳父は帥を動かして防いだ。

王手はかけられず、逆に仕を出され、砲を引かれ、私の馬を取られてしまった。

歩もすぐに車に取られ、あっという間に反撃の手段を失い、数手で詰まされた。

「男子たるもの、天地を支えるほどの気概を持ち、断つべき時は断つべきだ。優柔不断では大事を成し遂げられん」岳父は駒を置き、茶を飲みながら言った。

岳父の家を出る頃には夜も深まり、頭の中にはずっとあの言葉が浮かんでいた。

負け方は少し悔しかったが、理屈は間違って...