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204話

河沿いに近づくと、夜の風がそよそよと吹き、広場の街灯が一斉に明かりを灯した。

北門の斜め向かいに絶好の場所を見つけて停車した。ここなら広場内の様子がはっきり見え、しかも気づかれにくい。時間が迫るにつれ、少し緊張してきた。入口から目を離さず、彼が広場に入る前に発見して陶冬梅たちに知らせれば、心の準備ができるだろう。

妻も入口を食い入るように見つめている。時間は一分一秒と過ぎ去り、九時になっても何の手がかりもない。姜兵からも連絡はなく、焦りながら時々妻を見やると、彼女は無邪気に携帯が鳴っていないことを示すように手を上げた。

やがて時間は九時十五分を回った。取引はとっくに始まっているはずだ。そ...