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1473話

道中、何度も時計を見ては、遅刻すると騒ぎ立て、すべて私のせいだと文句を言い続けていた。

もちろん彼女が遅刻するのは見たくなかったから、どれだけスピード違反したか分からないが、何とか出勤時間前に会社まで送り届けた。

さよならを言う暇もなく、車が停まるや否や、彼女はドアを開けてハイヒールで駆け降りていった。

「気をつけて!」と私は後ろから叫んだ。

無駄な言葉だった。妻は振り返りもしなかった。

彼女の姿はすぐに入り口の向こうに消え、私は車を転回させ、名残惜しく去っていった。

四日後、義母の誕生日だった。

早めに退社し、会社から家に急いで戻ったが、ドアを開けると妻がまだ帰っていないことに気づいた。

電...