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1325話

「彼はあの女と一緒に行ったんじゃないの?どうして戻るわけがあるのよ」冷馨はそう言いながらも、目には隠しきれない喜びの光が宿っていた。

「安心して、彼はあの女を家まで送っただけだよ」香昙のことを言うと、私の心には少しの痛みと惜しさが走った。

夏雨のためにも、冷馨のためにも、そして香昙のためにも、二人の愛を冷馨に話すつもりはなかった。

彼女の気性では、夏雨が他の女性を愛していることを寛大に受け入れられるとは思えない。

すでに終わったことなら、二人の愛は天地の間に消え去らせ、ただ二人の心の中だけで生き続けるべきだ。

この秘密を守ることも、二人の愛に対する私なりの敬意だった。

香昙はさらり...