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1269話

「失礼します」私が席に着くと、男は視線をテレビに戻した。

横目で見ると、テレビには競馬場の映像が映し出されていた。カメラは観客の群れからレース場へと切り替わり、どうやら競馬の生中継をしているようだ。

「わざわざ遠くからお越しいただいて、申し訳ありません、王さん」男は隣の女性を腕で抱き寄せながら、まるでおもちゃをもてあそぶかのように、女性の胸の膨らみを弄んでいた。

女性も逃げるそぶりを見せず、むしろ胸を突き出して、男がより良く掴めるように迎合していた。

しかし男の目はずっとテレビから離れず、画面の映像が隣の女性よりも魅力的に映っているようだった。

私は彼を一瞥したが、何を言えばいいのか...