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1260話

「お茶を一口飲んで、わざと不満げに言った。

中年の女性は苦笑いしながら答えた。「苗雪晴よ。銀輝旅行会社の取締役社長」

一口飲んだお茶が喉に詰まりそうになり、口元まで吹き出しかけた。目の前にいるのが苗雪晴だと知って、無理やり飲み込んだものの、むせて咳き込んでしまう。私の狼狽ぶりに苗雪晴は笑い出した。

あまりにも予想外だった。銀輝会社のトップが女性だとは、それも、こんなに美しい人だとは思いもよらなかった。

「このお茶は確かに悪くないけど、飲むときは気をつけないとね!」苗雪晴はティッシュを数枚差し出しながら、からかうように言った。

口元を拭いて、少し不快だった。だが、それ以上に目の前のこの女性に腹が...