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105話

「これは単に欲望を発散しただけじゃなく、彼女の体に新たな『初めて』を刻むことができた喜びもあって、むしろ少し得意な気分だった。

この得意げな感情に、少し怖くなった。こんな感覚は今までなかったことだ。

以前なら彼女が同意しないことは、決して無理強いしようとは思わなかった。

だが今日は明らかに欲望が勝ってしまった。体内の欲望が、知らぬ間に理性を押し流していたようだ。

何十年も理性に縛られてきた思考が、一度その束縛を振り切ると、まるで解放されたかのように、心も体も自由になったような気がした。

心の奥底に、自分でも恐ろしいほどの興奮があった。

浴室からの嘔吐の音が次第に収まり、うがいの音が聞こえてきた...