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63話

夢境の地。

竹の小屋。

屋外では疎らな風が林を通り抜け、竹の葉がさらさらと音を立てていた。沈清秋は机の前に座り、両手を袖に隠し、じっと物思いに沈んでいた。

簡単に言えば、ぼんやりと考え込んでいたのだ。

しばらくして、急ぎ足の足音が聞こえ、洛冰河が竹の小屋の入り口に現れ、慌てた様子で言った。「師匠!」

彼が部屋に駆け込むと、沈清秋はようやく長い間溜め込んでいた不満を爆発させた。

沈清秋は言った。「渡せと言ったからって、本当に渡すなんて!?」

洛冰河は答えた。「渡さなければ、あの魔頭が師匠をどんな目に遭わせるか分かりませんでした」

人のことを魔頭と言うが、お前こそが...