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53話

【苍穹山派の外には空防結界が設けられており、本門の仙剣でなければ無断で入境することは許されず、勝手に入境すれば軌道を逸らされる。沈清秋は山の麓で足を止め、飛剣を返し、ついでに衣装を着替え、笠をかぶることにした。

山下の小さな町には修士の往来が常にあるが、今日は人影が少ない。沈清秋が不思議に思っていると、声をかけられた。「仙師様、あなたは……苍穹山派へ向かわれるのですか?」

沈清秋が頷くと、その人はさらに言った。「今行くのは、あまり良くないのでは?」

沈清秋は胸が締め付けられる思いで尋ねた。「どういう意味で良くないのでしょう?」

その人は周囲の数人と顔を見合わせ、「ご存じないのですか?こ...