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288話

電話をかけるが、つながらなかった。音声案内で電源が切られていると知らされる。これには少し不思議に思った。舒夏の元秘書として、小敏は24時間携帯の電源を入れておく習慣がついていたはずだ。いつ連絡しても、これまで繋がらないことなど一度もなかったのだから。思わず会社の同僚に電話して聞いてみると、彼女は数日前に気晴らしの海外旅行に出かけたという。

少し残念だった。本当は彼女からグループ内部の事情を聞き出したかったのだ。ここ数日接触して、グループ内部の派閥対立についてはおおよそ理解できたが、それ以上踏み込むと、何も分からなくなる。今の私がどんなことをしても道化師のようなもので、現状を変えられないとは分...