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909話

「それに、中で火を焚いても煙で窒息する心配もないんだ」私は思わず陳慧に言った。「本当に窮すれば通ずるっていうけど、今夜はここで休むのが良さそうだな」

「うん、あなたがいる場所なら、どこでも大丈夫」

陳慧は唇を引き締めて微笑み、その瞳には隠そうともしない優しさが溢れていた。私は頭を抱えたくなった。彼女との関係をどう扱えばいいのか、本当に分からなかったからだ。もういい。

こんなことは考えないほうがいい。考えても悩みが増すだけだ。今は宿る場所が見つかったけど、まだ食べ物や飲み物を準備しなければならない。

陳慧が言った台風が本当に来るかどうかは分からないが、備えあれば憂いなしだ。そこで私は陳慧...