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529話

心臓がどういうわけか不意に高鳴り、口の中も乾いてきた。思わず唾を飲み込む。彼女の背中から腕を回して前に手を伸ばした瞬間、指先が彼女の柔らかな胸の膨らみに触れてしまった。衣服越しではあったが。

それでも彼女の弾力のある感触が伝わってきて、思わず指が震えてしまう。「張龍、君子でなくてもいい、けど畜生になるな」

私は唾を飲み込み、舌先を噛んで、必死に心の中で念じた。自分はすでに十分ろくでなしだと思っている。

もし陳慧との間に何かあれば、自分自身を許せないだろう。今家には二人きりで、しかも陳慧はこんなに熟睡している。もし本当に何かするつもりなら、これは間違いなく絶好の機会だ。

だが——。私は心の中の熱...