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516話

私は一瞬驚いた。普段どんな本を読んでいるのだろうと思ったが、幸い以前叔母さんが買った本をたくさん見ていたので、すぐに返答できた。

「実は色々なジャンルを読んでいるんです。例えば哲学系だと『人生の知恵』や『哲学簡史』とか。あとは『紅楼夢』、その他いろいろで、特定のものに限ってはいないんです」

「なるほど、幅広く読んでいるのね」羅素は微笑んで、私がパソコンを操作するのを見つめていた。彼女がそれ以上話を続けなかったことに、なぜか妙に安堵した。今の雰囲気は確かに少し気まずかった。男と女が二人きりで部屋にいるのだから。

しかも、こんなに近くにいて。正直、何も考えていないと言えば嘘になる。このまま「...