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993話

「仏様」は元々大きな野心など持っていなかったが、孔学義にそう言われると、心に波紋が広がり、何かが胸の内で震えた。

覇を競い、天下を取る野心が心の奥で蠢き始めていた。

「あなたの手元に丹薬師がいれば、どうして一代の覇業を成し遂げられないことがあろうか」

「陸塵は今はまだ名が知れていない。今こそ最高の機会だ。今手を打たなければ、他の勢力に先を越されてしまえば、二度とこのような機会は訪れないだろう」

孔学義はさらに煽り続けた。

仏様の心に残っていたわずかな義理人情も、この瞬間に崩れ去った。「それもそうだな」

孔学義は笑みを浮かべた。「では、仏様が南境の新たな覇者となられることを、先にお祝い申し上げま...