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877話

温小華はもはや力もほとんど残っておらず、拳さえ上げるのがやっとの状態だった。

相手の振り下ろす刃物に対して、頭では反応できても、体はもう適切に動かせない。

胸元に二刀の斬撃を受けた。

ビシッという音とともに、胸に二筋の長い血痕が走り、鮮血が瞬く間に衣服を赤く染めた。

その瞬間。

空から突如、遠くから近づいてくる轟音が響いた。

皆が思わずその音の方を見上げた。

一機のヘリコプターが山の下から上昇してきたのだ。

そのヘリは皆の頭上五、六メートルの空中で旋回していた。

強烈な風圧に、一同は目を見開くのもやっとだった。

細目で見上げると、一つの人影がヘリから飛び降りるのが見えた。

「陸塵だ!!!」

塔...