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840話

陸塵は王拐子が吹き飛ばされた隙を捉え、もはや手加減することなく、右拳に全身の力を込めて轟然と繰り出した。

この一撃は空気を切り裂く爆音を発した。

王拐子は驚愕の色を浮かべ、後退させられた体ではもはや回避の動きができず、ただ両手で杖をしっかりと握り、陸塵の拳に対抗するしかなかった。

「ガァン!!!」

拳が杖の中央に打ち当たり、耳を劈くような爆発音が響き渡った。

王拐子はまるで砲撃を受けたかのように吹き飛ばされ、二本の木を折りながら十数メートル先に叩きつけられた。

王拐子は両腕の感覚が完全に失われ、止めどなく震えていた。手にした純鋼製の杖さえも曲がってしまっていた。

「こいつは手強すぎる、撤退だ」...