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711話

しかし、彼を恐怖に陥れたのは、その一見すると遅々として動く拳が両側に二筋の気流を生み出していることだった。まるでSF映画に出てくるミサイルが空気を切り裂くかのように。

その拳はまだゆっくりと動いているように見えたが、鉄牛は突如として全身に恐ろしい力が満ちるのを感じた。

巨大な衝撃波が彼を思わず後方へ吹き飛ばし、その飛行速度は時速百二十キロメートルにも達していた。

「ドン!」

「ドン!」

猛烈な勢いで飛ばされた体は二本の石柱を真っ二つに折り、さらに数十メートル後方へと飛び続け、最終的に工場の最も奥にある壁に激突した。

轟という巨音とともに、壁には直径二メートルほどの大穴が開いた。

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