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537話

「もしそんな奇人が見つからなければ、彼を完治させることはできないだろう」

陸塵は李老人の高潔な人格に対して非常に敬服していた。以前、李春から聞いたところによると、李老人はこの数年間、村の人々の病を診ながらも一度もお金を受け取ったことがないという。この物欲が横溢する時代において、高度な医術を持ちながらも名利を求めない人間は、本当に稀有な存在だった。

「やらせてください!」

陸塵が突然笑いながら言った。

「お前が?」

李老人は思わず眉をひそめた。

「私がおそらくあなたの言う奇人なのでしょう」

陸塵は淡々と微笑み、言葉が落ちる頃には既にベッドの傍に立っていた。

身に携えていた銀針一式を取り...