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948話

「それじゃ、俺は失礼するよ」

そう言い残して趙東は席を立った。村には彼が対応すべき仕事が山積みだった。何より新任の村長として「三把火」を焚くべきところ、まだ一つも着手していなかったのだ。

趙東が忙しいことを知っている邢新宇と趙武も、特に引き留めようとはしなかった。

趙東の去っていく背中を見送ると、邢新宇はようやく長い溜め息をついた。

「老趙、君の村のあの若者は将来大物になるぞ。まったく並々ならぬ才能だ。あんな若さでこういう発想ができるなんて、俺たちでさえあの小僧ほど頭が回らないかもしれんな」

「へへ、言っただろう?あいつは昔、義理の姉さんのために村中の連中と対立したんだ。それでも村の連...