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684話

「大橋のおばさん、家にいるの?」

何度も呼びかけても家の中から反応がなく、趙東は不安になってきた。

すぐに塀に登って家の中を覗き込んだが、家の中は空っぽで誰の姿も見えなかった。

それでいくらか安心したものの。

しかし吳大橋はどこに行ったのだろうかと考え、あの洞窟のことを思い出した。

あの、自分と吳大橋、周蘭花が一緒に過ごした洞窟だ。

趙東はすぐにそこへ向かって走り出した。

洞窟の入り口に着くと、吳硬が生姜を籠ごと外に運び出しているのが見えた。ただ吳硬が使っていたのは牛車だった。以前の棒子村は道が悪く、また歩行型トラクターもとても高価で、普通の人は買おうとしなかった。...