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633話

「そう言われて、呉大橋も顔に笑みを浮かべた。

ただ、趙東に会うたびに、あの夜、洞窟で趙東と過ごした光景が思い出されてしまう。

田春柳も趙東の声を聞いて、野菜を切るのも構わず、すぐに走り出てきた。

息を切らして胸が上下する田春柳の姿を見て、趙東は思わず目が釘付けになった。

「へへ、こんなに会わないうちに、義姉さんがまた色っぽくなったような気がするな」

趙東にそんな風に冗談を言われ、田春柳は頬を赤らめた。

「もう、またくだらないこと言って」

口ではそう言いながらも、田春柳は内心嬉しかった。呉大橋がいなければ、きっとこんな風に言わなかっただろう。

「義姉さん、俺は本当のことを言ってる...