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612話

こんなに無私な若者は、彼にとって初めて見るどころか、これまで一度も見たことがなかった。

たとえ大学を卒業して理想を抱いて戻って来たときでさえ、今の趙東のようにこれほど崇高な姿を見せたことはなかった。

趙東が今楊樹人の心の中で思われていることを知ったら、きっと笑い出すだろう。なぜなら彼は完全に自分のため、将来エビやら野菜やらを外に運びやすくするためにやっているのだから。

そうでなければ、こんなにお金をかけるはずがない。

「へへ、楊さん、安心してください。そのときは必ずあなたに建ててもらいますよ。でも今は本当にお金がないんです。お金ができたらまた考えましょう」

楊樹人はこの言葉を聞くと、...