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490話

「ふふっ、あなたの腕前は信じていますよ。帰るときに美酒を二瓶ほど持ち帰らせていただけないでしょうか?」

「ん?ないない、もうないんだ。飲みたいなら正月にでもまた来るといい。今はないよ」

趙有田は目の前の美しい娘がこれほど厚かましいとは思わなかった。自分の上等な酒を飲んでおきながら、さらに二瓶も持ち帰ろうとするとは。自分ですら惜しんで飲まないものを、どうして簡単に人にあげられるだろうか。息子の趙東が悪くない友人を二人連れて帰ってきたと分かったからこそ、美酒をベッドの下から出したのだ。

もし普通の友人なら、彼は安物の酒を出していただろう。今、庭に漂う酒の香りを嗅ぐと、彼の心は痛むばかり...