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1068話

柳杨の美辞麗句に、趙東はさほど気にかけなかった。

「いいんだ。人々がこの谷に入らないようにしてくれれば十分だ。さあ、上がって一緒に山を下りよう」

そう言いながら趙東は手を差し出し、柳杨に牛の背中に一緒に乗るよう促した。

先ほどの黄牛の姿を思い出し、柳杨は恐る恐る尋ねた。「このまま乗ったら、踏み潰されたりしないですか?」

「大丈夫だよ、大黄はとても温厚なんだ。一緒に山を下りよう。この山にはニシキヘビだけじゃなく、毒蛇や狼もいるんだ。夜になってもここにいたら、明日には命がないかもしれないぞ」

趙東の言葉を聞いて、柳杨はすぐに手を差し出した。趙東に軽く引っ張られると、あっという間に牛の背に...