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989話

「返してくれるの?ドアを閉めて少し楽しませてあげようか?」

安雨が艶めかしく笑いかけた。

「それは遠慮しておくよ。この家、防音性良くないだろ?みんなリビングで食事してるんだし。俺たち二人が天地をひっくり返すような騒ぎを立てたら、誰も食事どころじゃなくなるよ。大丈夫、すぐに落ち着かせるから」

そう言うと、阿宾は目を閉じて呪文を唱え始めた。

果たして、一分もしないうちに、あの高慢な奴はついに高貴な頭を下げ、安雨は美しい瞳を丸くして見つめていた。

終わると、阿宾はそれを元の位置に戻し、安雨の手を引いて外へ向かった。「ちょっと待って、阿宾お兄さん。私と蜜儿がさっき何を話していたか知ってる?私た...