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64話

「そう言いながら、桂枝の腕に自ら手を通し、二人の女性は親密に山を下っていった。

阿宾もバイクに乗る勇気はなく、道は泥だらけだったため、バイクを押しながらゆっくりと下山するしかなかった。

十分ほどかけてようやく無事な道路まで押し出すと、地形の関係で鉄砲水は来るのも早ければ引くのも早く、この区間にはほとんど水溜まりが残っていなかった。阿宾はバイクのエンジンをかけ、桂枝に前に座るよう合図した。彼女を抱きかかえるためだ。

桂枝が前に座ろうとしたその時、楊美玲が彼女を呼び止めた。

「桂枝、前は風が強くて寒いわ。おばさんが前に座るわ!おばさんがいつも阿宾を独り占めするわけにはいかないわ。あなたは阿宾の奥さ...