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2516話

「もちろん、阿宾はこの車が遠方へ向かうのではないかと心配していた。そうなれば追跡も無駄になる。どんなに腕が良くても、さすがに追いつけるものではない。

およそ十キロほど追いかけた頃、車はようやくスピードを落とし、ある別荘地へと向かい始めた。それも海辺の高級別荘区域だった。

阿宾はそこで気づいた。この車を追って、もう海岸近くまで来ていたのだ。

どうあれ、ここまで来たからには中に入って最後まで見届けるべきだろう。そう決意し、彼は塀を乗り越えて別荘区内に侵入した。

車のテールランプを頼りに、一軒の豪邸の前まで追跡した。

次の瞬間、運転席からひとりの若い男が降りてきた。身長は180センチはあろうかと...